「技術勝負ならコールド負け」。由利工・渡辺監督の予想をナインはいい意味で裏切った。134球の熱投で試合をつくった主戦佐藤亜は「正直、もっと打たれると思った。いい経験になった」。表情はすがすがしかった。
 中盤までの好勝負を生んだ要因は強気の攻めだ。一回1死二塁で3番日置、4番大塚という好打者に、胸元を果敢に突いて詰まらせた。
 「日大三にはこれまで外角中心の配球をするチームが多かった。内角を攻めないと打ち取れない」と先発マスクの井島。日大三の名将小倉監督に代走、継投と早めのカードを切らせたことが健闘ぶりを物語る。
 2巡目に入るとさすがに通用しなくなったが、それでも大量失点を防げたのは「みんなが守ってくれたから」(佐藤亜)。六、八回は内野の好守がなければ一方的な展開になってもおかしくなかった。バックの奮闘が点差以上に引き締まった試合を印象付けた。
 地元出身の選手だけで、猛打が伝統の強豪に堂々と立ち向かった。「秋田では見たことのない飛距離の打球だった。強いチームと対戦して課題も残った」と佐藤亜。初めての聖地で、夏までの宿題が見つかった。(剣持雄治)