甲子園球場で開かれている選抜高校野球大会第2日の24日、由利工(秋田)は21世紀枠で初出場した。初戦で日大三(東京)に0-5で敗れたが、スクールカラーの紫紺に染まった一塁側スタンドで、全校生徒や全国から集まったOBら約600人が郷土愛のこもった声援を送った。
 「秀麗無比なる鳥海山よ 狂瀾吠(きょうらんほ)え立つ男鹿半島よ」。六回の攻撃開始前、アルプススタンドに秋田県民歌が響いた。伝統の強豪校に真っ向から立ち向かったナインを、最後まで地元らしい応援で支えた。
 由利工は少子化の影響で統廃合が検討されてきた。「地域に愛される学校を目指そう」。21世紀枠選出に当たって評価された学校改革は、高校の存続に向けた闘いでもあった。
 野球部員が先頭に立った。渡辺義久監督が教壇に立つ建築科の部員は木工おもちゃを作り、近くの保育園に寄贈した。地元のお年寄りの車いすを修理したり、電球の交換に訪れるなど地域貢献に取り組んできた。
 そんなナインの晴れ舞台。応援のために住民が立ち上がった。
 吹奏楽部には9人しかいなかったが、OBや市民楽団が加わり、約20人編成になった。トロンボーンを担当した由利本荘市の会社員藤本隼さん(25)は「甲子園に連れてきてくれて本当にありがとう」と気持ちの入った音色を響かせた。
 夏井博実校長は「想像以上の応援。積み重ねてきたことが評価された」と感慨深げ。好投した佐藤亜蓮投手の父、三男さん(58)も「こんなに応援してもらえて彼らは幸せ者だ」と感激した面持ちで語った。