柔よく剛を制す。花巻東の先発田中が、大会屈指の強力打線を5安打に抑えて逃げ切った。
 直球は120キロ台だが、手首の返しが遅くタイミングを合わせづらい。スライダー、チェンジアップ、フォークボールなど多彩な変化球を織り交ぜて打ち気をそらし続けた。
 「右打者にはチェンジアップ、左にはスライダーを捨てろと指示したが、打ちごろに見えるんでしょうね」。東邦・森田監督はほぞをかんだ。フライアウトは10。強力打線を手玉に取った。
 見た目には軟投派だが、ユニホームの中には強気な心を秘めている。3-0で迎えた六回、1点を返されてなお2死一、二塁で、6番山本に対しては徹底してチェンジアップで攻めた。
 伏線がある。四回の打席は2ボール2ストライクからチェンジアップで空振り三振を奪っている。
 「捉えられたとしても、バットの先にちょこんと当てさせて打ち取る意識だった」。6球全てチェンジアップ。再び空振り三振に仕留めてピンチをしのいだ。
 「思い切り腕を振れたのが良かった」。殊勲の左腕はそう振り返る。花巻東は継投が武器だが、結局一人で投げ抜き、打っても3打点と活躍。「次も、1点差でもいいのでチーム力で勝ちたい」と意気込んだ。(今愛理香)