延長十回、花巻東の打線からようやく快音が響いた。先頭は4番紺野。「意地でも塁に出てやる」。真ん中に入った直球を右前にはじき返した。
 代打八幡が歩いて一、二塁。続く上戸鎖には送りバントのサインが出ていたが「三遊間が空いているのが見えた」(上戸鎖)。自らの判断で強攻して左前に運んで満塁。藤森が高々と中堅に犠飛を打ち上げてけりをつけた。
 九回まで無安打。左腕増居に打線が沈黙を強いられた。「直球と変化球の腕の振りが同じ。対応できなかった」(紺野)。真っすぐに狙いを絞っていたが、うまく外され14三振。うち七つが見逃しで、まさに手も足も出なかった。
 それでも、接戦に持ち込めばめっぽう強いのが、今年の花巻東だ。上戸鎖は一塁の守備でも冷静な判断を見せている。六回1死三塁のピンチで、今井がスクイズの構えを見せると、猛然とダッシュして併殺に結び付けた。「監督から判断を任されている」と上戸鎖。処理を誤っていたら彦根東に得点され、逃げ切りを許してもおかしくなかった。
 選抜の8強進出は菊池(西武)が快投で引っ張った2009年以来。準々決勝では昨年の王者、大阪桐蔭に挑む。「挑戦者の気持ちを忘れず組織力で戦う」と藤森。連戦だけに、伊藤の力投で主戦田中と西舘を温存できたのは大きい。(今愛理香)