苦労人が節目の試合に自ら花を添えた。1-0の前半34分。エリア内に駆け上がった野津田は、フリーで受けたボールを利き足とは逆の右で蹴り込んだ。「レギュラーをつかむために結果が必要だった」。ホームデビュー戦で約1年2カ月ぶりのゴール。「苦しい思いの中、すごくほっとした」と笑った。
 左のシャドーストライカーは90分間、敵陣を自在に駆け回った。前後半で放ったシュートは計7本。「カップ戦(準々決勝の鹿島戦)に出られず、悔しかった。自分が決めて勝ちたかった」。この試合に懸ける思いを表現してみせた。
 野津田と同じく、古林も仙台移籍前はチームでくすぶっていた。前半11分、右サイド奥からのクロスで、石原の先制点をお膳立て。「やっと決められた」と初アシストを喜ぶ。日々の練習で仲間に積極的に話し掛け、少しずつ連係を深めていった努力が実った。
 今季最多4ゴールの快勝劇にも、渡辺監督は「今はまだ、中位より上に食らい付く資格を得ただけ」と満足していない。野津田、古林も「まだまだ自分はやれる」と声をそろえる。上位陣との連戦が待ち受けるチームにとって、喜ぶのは時期尚早。ピッチを引き揚げる仙台イレブンの引き締まった表情からはそう読み取れた。(狭間優作)