J1仙台から8月にJ3盛岡へ期限付き移籍したMF差波優人(24)が主力として活躍し、着実に成長を遂げている。「いつかベガルタの力になれるように、ここで全力を尽くす」。ユアスタ仙台で躍動する日を思いながら、J3の過酷な環境下で汗を流す。
 厳しい寒さの中で行われた早朝のウオーミングアップ。仲間と笑顔で言葉を交わす差波の周辺は、仙台時代と同様、明るい雰囲気が漂っていた。移籍して3カ月ですっかりチームに溶け込んだ様子だ。
 「4-4-2」と「3-5-2」のシステムを併用する盛岡で、ボランチの主力を務める。移籍直後の8月20日のリーグ戦で初出場。以降は全13試合に先発し、11試合にフル出場した。菊池利三監督は「われわれ(チームの他選手)にないものを持っている。特に豊富な運動量が武器」と能力の高さを評価する。
 2016年に仙台入りしてから期限付き移籍するまでの日々は苦痛だった。リーグ戦の出場はゼロ。年下の選手がチャンスをつかんで結果を残していく姿をピッチの外で見続けた。盛岡のオファーに迷いはなかった。「環境を変えて自分を見詰め直したかった。カテゴリーが二つ下になるとか、全く関係なかった」と振り返る。
 実戦から長く遠ざかっていたため、最初の公式戦は90分間走り切ることができなかった。だが、今は「忘れかけていたサッカーの楽しさを味わえている。攻守の切り替えの速さ、運動量が自分の武器だということも思い出した」と充実した表情を浮かべる。
 移籍して磨かれたのは、技術より精神面だと言う。盛岡にクラブハウスはない。練習場は人工芝で、体への負担が大きい。痛みがあれば、近所の整骨院で診てもらう。「自分がいかに恵まれていたか分かった」
 J3はプロとアマチュアの中間に位置するといわれる。輝かしいスポットライトを浴びるには、はい上がるしかない。「(八戸市出身の)東北人として、仙台を盛り上げたい気持ちは今もある。ここで終わるわけにはいかない」。差波は自身に言い聞かせるように語った。(狭間優作)

 さしなみ・ゆうと 青森山田中、青森山田高、明大を経て2016年に仙台に入団。八戸市出身。168センチ、68キロ。背番号28。今季、仙台では公式戦出場なし。盛岡ではリーグ戦13試合に出場。