J1仙台は今季、上位進出を目指してシステムを「4-4-2」からより攻撃的な「3-4-3」に変えて戦った。勝ち点41は昨季を2下回り、順位は同じ12位だったが、YBCルヴァン・カップでクラブ初の4強進出を遂げるなど、来季の飛躍に期待を抱かせる1年だった。目標だったリーグトップ5入り、そして悲願のタイトル奪取には何が必要か。今季の戦いを振り返りながら、課題を検証する。(狭間優作)

 勝利を諦めない選手の姿勢に、観客席の一角を占めた仙台サポーターからねぎらいの拍手が起こった。4月22日のリーグ戦第8節アウェー広島戦。先制を許して2点を追う仙台は、後半の8分間で3得点し逆転した。終了間際に失点し引き分けたものの、渡辺監督は「パワーとエネルギーは次につながる」とイレブンの奮闘をたたえた。
 その後、チームは渡辺監督が予言した通りの戦いを見せた。今季、公式戦で先制を許しながらも一時同点としたのが14試合。昨季より5試合多かった。「自分たちのサッカーをやっていれば追い付く自信がある。先制されても焦らなくなった」。攻守の要、ボランチ三田は胸を張る。
 全員で守って攻撃する姿勢は、データにも表れている。Jリーグが集計した各チームの1試合の平均走行距離で、仙台はリーグ2位の113.940キロ。リーグ平均を2.572キロ上回った。8月にJ1広島から期限付き移籍したシャドーストライカーの野津田は「仙台はよく走るというイメージはあったが、実際に中でプレーしたら予想以上だったので驚いた」と振り返った。
 「球際(の競り合い)、攻守の切り替え(の速さ)、走力で負けたくない」。選手たちの口からよく耳にした言葉だ。渡辺監督が2014年に就任して以来、繰り返し訴えてきた「戦うマインド」が全体に浸透した証しともいえる。システムが3-4-3に変わっても、チームの「哲学」は揺るがなかった。
 一体感は日々の練習でも醸成された。紅白戦やミニゲームの後、選手たちは給水しながら意見交換を重ねた。昨季までは少なかった光景だ。仙台で最多の10ゴールを決めた石原は「気付いたらすぐに言わないと、理解は深まらない。『うるさいな』と思われようが、チームが強くなるために言い続けた」と話す。
 この1年、「自立と自律」を掲げて指導に当たった渡辺監督は「選手が自分たちで課題を解決する姿勢が(就任してからの)4年間ではるかに強くなった」と手応えを語る。来季も一体感を継続し、戦術に磨きをかければ、上位進出が現実味を帯びてくる。