J1仙台は今季、上位進出を目指してシステムを「4-4-2」からより攻撃的な「3-4-3」に変えて戦った。勝ち点41は昨季を2下回り、順位は同じ12位だったが、YBCルヴァン・カップでクラブ初の4強進出を遂げるなど、来季の飛躍に期待を抱かせる1年だった。目標だったリーグトップ5入り、そして悲願のタイトル奪取には何が必要か。今季の戦いを振り返りながら、課題を検証する。(狭間優作)

 「『4-4-2』から『3-4-3』にシステムを変えたことで、リーグ戦の前半は苦戦するだろう。後半が勝負になる」。渡辺監督の見通しに狂いが生じたのは7月1日、前半戦を締めくくる第17節のホームG大阪戦だった。
 前半14分、それまで全試合に出場し、チーム最多アシストで貢献してきた大卒新人のウイングバック永戸が右足首に大けがを負い、戦線を離脱した。即戦力ルーキーを失った仙台はその後、2分け2敗とつまずいた。後半戦のスタートダッシュを切れず、渡辺監督は「本人にとっても、チームにとっても痛すぎる」と落胆を隠さなかった。
 対応に追われたフロントは急きょ、J2名古屋から古林を期限付きで獲得した。名古屋では今季リーグ戦1試合のみの出場で、本人は入団当初、「90分間を通して走れるか分からない」と不安を吐露していた。それでも、途中加入のMFに命運を託すしかなかった。
 敵陣と自陣を激しく往来するウイングバックは、3-4-3の成否を握る重要なポジションだ。高い運動量が求められる分、体の負担は大きい。開幕戦直前に大けがをした中野がリーグ戦中盤から本格復帰し、古林の高い適応力、蜂須賀の急成長で盛り返したが、想定外への備えは万全とは言いがたい。
 守備でも選手層の薄さを露呈した。総失点は2014年途中に渡辺監督が就任して以来、最多となる53に及んだ。
 象徴的だったのは11月18日の第32節大宮戦。後半35分、負傷した増嶋に代わり3バックの左に入ったのは、センターバック経験の浅い菅井だった。渡辺監督は試合後に「素晴らしい働きだった」と持ち上げたが、本人は「ジョークじゃないでしょうか」と言葉少なだった。
 YBCルヴァン・カップでクラブ初の「ニューヒーロー賞」に輝いたシャドーストライカーの西村は「前線にはライバルが多い。負けたくないと思いながら練習に取り組んだ」と振り返る。3バックでは椎橋が頭角を現したが、途中までチームの得点王だったクリスランがベンチに控える攻撃陣に比べると、守備陣の迫力は物足りなかった。
 上位進出には攻守両面でバランスの取れた戦力が不可欠。フロント幹部は「石原、野津田、中野、古林ら期限付きで獲得した選手を引き留めること。そして守備陣の補強が来季に向けて重要になる」と語気を強める。