岩手県住田町が東日本大震災の被災者向けに整備し、再利用することになった木造一戸建て仮設住宅が高い人気を博した。退去が完了した火石地区の全13戸の払い下げに、7倍超の応募があった。町は予想以上の反応に驚いている。
 町によると、昨年10月中旬に始めた約2週間の募集に、宮城県や千葉県などを含めて76の個人・法人から計97件の申し込みがあった。町は(1)町民や町内事業者(2)住まいが必要な震災被災者-の順で計10戸分を決定。残りは応募者の中から、住居として利用する人に限定して抽選した。
 地元のスギ材を活用した仮設住宅の間取りは2DK(約30平方メートル)。エアコン、風呂、トイレ、キッチン、太陽熱温水器、物置などが付いて価格は3万円と格安だが、解体や運搬、移設費用は自己負担となる。
 自分の土地に移築し、当面の住まいにするという被災者の男性(42)は「災害公営住宅で家賃を払うより安い。一戸建てでプライバシーも守れる」と話す。
 震災直後、町は独自に木造仮設住宅の整備を決め、町内3カ所に計93戸を建てた。外構を含めた1戸当たりの整備費は350万円。2014年から原則、退去者が希望すれば譲渡していたが、今回は道路改良工事に伴って全面撤去する必要があり、初めて公募した。
 町は整備する段階で、再利用を想定していなかった。福島県内には、それを見込んで解体や運搬しやすくした木造仮設住宅もあるという。
 町建設課の担当者は「災害への備えとして、再利用を考えておくべきだと感じた。今回の経験を通じ、知見を得たい」と話した。