遠野市図書館(岩手県遠野市)は31日、昨年8月の台風10号豪雨で浸水被害に遭った収蔵資料749点に乾燥処置を施した。被災資料を応急復旧させる技術講習会を兼ね、岩手県内の図書館関係者や市民ら約30人が取り組んだ。
 川の氾濫による浸水で、旧土淵中を活用した「遠野みらい創りカレッジ」に保管していた約2500点が被災した。日本昔話研究で知られる民俗学者の関敬吾が収集した昔話関連図書コレクション、江戸時代や明治に遠野で使われた和本教科書が含まれている。
 水に漬かった資料は、岩手県博物館や奈良文化財研究所(奈良市)で冷凍保管されていた。図書館で乾燥処置ができる和本教科書を中心に移送した。
 作業は資料のとじひもを切り、キッチンペーパーを巻いた新聞紙を挟み込む。全体を新聞紙で包んだ後、座布団圧縮袋に入れて空気を抜き、圧力を均等に掛けて水分を紙に移す。4回ほど繰り返すことで十分に乾燥するという。
 講師を務めた遠野文化研究センター調査研究課の前川さおり課長補佐は「資料の大量被災は専門職員だけで手に負えない。この方法なら、簡単に手に入る物でボランティアの力を借りて実施できる」と説明する。
 参加した大阪市自然史博物館外来研究員の西沢真樹子さん(40)は「近くに川があり増水の危険がある。南海トラフ巨大地震もいつ起きるか分からない。明日はわが身。覚えた技術を持ち帰り、西日本で研修会を開きたい」と話した。
 図書館は2月7、14、21日にも講習会を開く。参加者を募集中。定員は各回30人。連絡先は0198(62)2340。