山形県は15日、2017年度一般会計当初予算案を発表した。総額は6132億円で、前年度当初予算に比べ1.7%減となった。20日開会の県議会2月定例会に提出する。
 吉村美栄子知事にとって、3期目最初の当初予算案になる。重点政策「やまがた創生」の五つの柱(1)県民総活躍(2)産業イノベーション(3)若者の希望実現(4)健康安心社会(5)県土強靱(じん)化-に手厚く予算を配分した。
 県民総活躍の一環で、郷土愛の醸成を図るために新聞を活用した教育活動支援に2700万円。若者支援は、40歳未満の正社員化の促進と非正規労働者の所得向上を目指し、全国初の奨励金制度を設ける。総事業費は2億2800万円。
 産業振興は、生産農業所得の現行1.3倍、東北トップの実現を掲げ、農家向け経営塾の開催や幅広い用途に使える補助金の創設に1億200万円を計上した。中小企業対策として開発や設備投資、販路開拓支援に6億8600万円を充てた。
 健康安心社会の関連で、老朽化が進む県立新庄病院の整備に8億9900万円を確保。インフラ整備は、奥羽・羽越新幹線の整備実現に向けた調査などに3100万円を盛り込んだ。
 歳入は県税が0.1%増の1082億円、地方交付税が1.4%減の1767億円。財政調整基金を122億円切り崩し、財政不足を補った。県債発行は3.1%減の755億円。17年度末の県債残高は、16年度末から1.2%減の1兆1772億円を見込む。

◎公約実現道筋見えず

 【解説】吉村美栄子知事が3選後初めて編成した山形県の2017年度一般会計当初予算案は、公約集「やまがた創生」を色濃く反映した内容になった。ただ公約で高い目標を掲げながら、新年度予算で打ち出した政策は従来の枠組みの中にとどまり、意欲との隔たりがある。
 公約は2期目に続き、合計特殊出生率1.70の達成をうたった。「若者の希望実現」の政策では、若者の正社員化、放課後児童クラブの利用促進など子育て世代の支援に力点を置く。一方、15年の出生率は1.48で、高い目標をこれらの事業で達成できるのか疑問が残る。
 産業イノベーションの分野は、各種補助金の創設や県産品のブランド力強化などを新規事業で盛り込んだ。いずれも目新しさに乏しく、製造業付加価値額1兆2500億円、東北1位の生産農業所得1100億円など、公約実現へ向けた詳細な道筋を示す必要がある。
 記者会見で吉村知事は「財政運営は厳しいが、県民との約束をできるだけ多く盛り込んだ」と述べた。
 公約は選挙の飾りではない。8年間、県政トップの経験を積んだ吉村知事に県民が求めるのは、着手ではなく、あくまでも成果であり、手腕が試される。
(山形総局・阿部萌)