国の文化審議会は10日、平城宮跡(奈良市)から出土した奈良時代の木簡3184点や、深大寺(東京都調布市)にある飛鳥時代の銅造釈迦如来倚像(しゃかにょらいいぞう)など7件の美術工芸品を国宝に指定するよう、松野博一文部科学相に答申した。横浜港で保存・展示されている帆船「日本丸」など37件を重要文化財に指定することも求めた。
 近く答申通り指定され、美術工芸品の重要文化財は1万686件(うち国宝885件)となる。
 平城宮跡の木簡には、役所の日常業務の記録や各地からもたらされた物資の荷札などが含まれ、当時の社会や経済の実態を伝える貴重な史料となっている。既に重要文化財になっていたものなど3184点を一括し、木簡としては初の国宝に指定する。
 銅造釈迦如来倚像は飛鳥時代後期の名品として知られ、少年を思わせる柔和な表情が特徴。
 日本丸は船員養成のため1930年に建造された全長約97メートルの帆船。戦前の船は現存数が少なく、建造当初の姿をよく残している点でも貴重と評価された。
 東北関係では、木造千手観音坐像(もくぞうせんじゅかんのんざぞう)(大崎市)、宮城県図書館が保管する陸奧国(むつのくに)仙台領元禄国絵図(せんだいりょうげんろくくにえず)関係資料を重要文化財に指定するよう答申した。

◎木造千手観音坐像(大崎市)/岩手・平泉の仏師作か

 高さ98.8センチ。12世紀後半に平泉(岩手県平泉町)で活躍した仏師の作品とみられる。中尊寺金色堂の内陣を飾る諸仏のうち、奥州藤原氏2代基衡のために作られた仏像群と、耳の形などが似通っているという。
 10世紀に創建され、明治初めに廃絶した小松寺(こまつじ)(大崎市田尻小松)に伝来した。地区住民で組織する「お薬師様文化財保存会」の所有。保存会の高橋邦輔代表(59)は「重文指定はうれしいが、守り本尊が遠い存在になるような寂しさもある」と語る。5月下旬から、大崎市松山の松山ふるさと歴史館で一般公開される。

◎陸奥国仙台領元禄国絵図関係資料(宮城県図書館)/城や街道 航路を描く

 江戸幕府が幕藩体制の確立と国内の情勢把握のため、各藩に作成と提出を求めた。元禄10(1697)~15(1702)年の元禄国絵図事業で、仙台藩に関連した絵図類や関連文書、記録類は計265点。宮城県図書館(仙台市泉区)に所蔵されている。
 「仙台領国絵図」は縦5メートル、横8.5メートルで約2万1600分の1の縮尺に城のほか、郡や街道、航路が描き込まれている。近隣諸藩との境を示した20枚の「領際(りょうきわ)絵図」なども一括保存され、研究上の学術価値が高い。歴史資料としては県内4件目の重文指定となる。