岩手県岩泉町などで甚大な被害が出た昨年8月の台風10号豪雨を教訓に、盛岡地方気象台は各市町村長と直接電話で結ぶホットライン強化に向けた啓発ビデオを制作した。早めの住民避難につなげる下地づくりを急いでいる。
 「激しい雨だ。普代川・茂市川流域に避難指示を出して警戒を強めたいと思うが、状況はどうか」
 「50年に1度の記録的な大雨となる。出すなら今でしょう」
 大雨を想定した普代村の柾屋伸夫村長と、気象台の和田幸一郎台長の電話のやりとりだ。約40秒の啓発ビデオ「もしもし台長」に収録した。
 気象台は2月に普代村であった防災講演会でビデオを披露。各自治体の首長を訪問した際に見てもらい、連携を強化したい考えだ。
 2013年の災害対策基本法の一部改正で、住民避難のために市町村長から助言を求められた国、県には応答義務が課せられた。台風10号豪雨を受けて国が改定した避難勧告などのガイドラインでは、現状の河川水位だけでなく雨量などの予測を発令の判断基準にすることが盛り込まれた。
 和田台長は「ホットラインの意識が市町村長の間でいまひとつ。判断に迷ったときはちゅうちょなく電話をかけてほしい」と話す。
 台風10号豪雨では、岩泉町が全域に避難勧告を発令できず、小本(おもと)川の急激な氾濫で被害が拡大。台風接近前に出した避難準備情報も生かされず、流域の高齢者グループホームで入所者9人が死亡した。
 和田台長は「ゲリラ豪雨が増え、雨量計のない小河川ほど危なくなっている。住民は自治体の情報に従ってほしい」と呼び掛ける。