第89回選抜高校野球大会は19日、兵庫県西宮市の甲子園球場で開幕する。東北からは、昨秋の東北大会準優勝の盛岡大付(岩手)と、同大会を制し、準優勝した2015年夏以来の大舞台を踏む仙台育英に加え、21世紀枠の不来方(岩手)が出場する。活躍が期待される戦力やチームの特長をそれぞれ紹介する。

◎東北勢の注目選手(下)不来方 小比類巻圭汰(投手)

 主戦で4番打者、しかも主将。小山監督が「チームの中心」と言い切る絶対的な存在は、初の甲子園にも「楽しい野球をしたい。つまらない野球なら勝てない」と強気の姿勢で、自分を含めて10人のチームを引っ張る。
 選手が少ない上、グラウンドが雪で覆われる冬場は実戦練習の機会が限られた。さまざまな制約の中、チーム全体で強化を打撃に絞り、筋力トレーニングや素振りなどに励んだ。普段の投球練習は週1回、近隣校の室内練習場を借りられる時だけ。それでも「守備練習は少ないが、失策した分だけ打てばいい」と割り切る。
 昨秋の東北大会初戦で強豪の八戸学院光星(青森)に0-2で惜敗するまで、公式戦9試合中8試合を1人で投げ抜いた。捕手の菊池康が明かす。「ピンチの時こそ投球に気持ちが乗り、球威が増す。スタミナも落ちず、頼りになる」。物おじしないマウンドさばきが仲間に勇気を与える。
 夕食とは別に、練習の合間にマネジャー3人が炊くご飯をみんなで1合ずつ食べた効果もあり、体重が昨秋の68キロから大幅に増えてたくましくなった。「少しずつ本調子に近づいている実感がある。甲子園では1人で投げ切りたい」と言葉に迷いはない。

◎思い切り良い打線

 打撃中心のチームで小比類巻が柱。昨秋の公式戦ではチームトップタイの9打点と勝負強い打撃で4番を担う。投げては右腕から130キロ台の速球とスライダーやチェンジアップを低めに集め、打たせて取る粘りの投球を見せる。
 打線は全体的にスイングの思い切りが良く、公式戦で打率4割を超えた鷹觜(たかのはし)、パワーのある打撃が持ち味の菅原らも調子を上げている。
 春夏通じて初出場。あえて目標は掲げず「楽しく試合をする」(小山監督)と自然体で臨む。大会第5日(23日)の第3試合で静岡と対戦する。