東京電力福島第1原発事故の避難者らが東電や国に損害賠償などを求めている集団訴訟で、全国初の判決が17日、前橋地裁で言い渡される。全ての電源喪失につながった津波の予見可能性など、東電と国の過失を認めるかどうかが最大の争点。国の指針に基づく賠償の妥当性に関する判断にも注目が集まる。
 原告は避難区域から群馬県などに避難した76人と、区域外から自主避難した61人の計137人。精神的損害に対する慰謝料など1人当たり1100万円を求め、2013年9月から順次提訴した。同様の集団訴訟は全国で約30件ある。
 過失を巡っては(1)津波を予見できたかどうか(2)全電源喪失などで発生した重大事故という結果を回避できたかどうか-が焦点だ。
 予見可能性では政府の長期評価が鍵を握る。地震調査研究推進本部は2002年、東北の太平洋沖で「マグニチュード8級の津波地震」の発生確率を発表。これを基に、東電は08年、津波は最大で高さ15.7メートルとの試算結果を得ていた。
 原告側は「東電と国は海抜10メートルの原発敷地を上回り、非常用電源などを浸水させる津波の発生を予測できた」と指摘。東電には防潮堤建設や非常用電源の移動といった安全対策の義務が、国には東電に対する規制権限行使の義務があったと主張する。
 東電側は、長期評価の信頼性は低く、「東日本大震災規模の津波は想定外で予見できなかった」と反論。国も予見可能性を否定し、重大事故対策は「法規制の対象外だった」とする。
 賠償については、原子力損害賠償紛争審査会の指針に基づく対応が争点だ。指針は避難区域からの避難者に月額10万円、子どもと妊婦の自主避難者には一括40万円-などと慰謝料を設定。東電によると、子ども・妊婦以外も含め自主避難者には4万~72万円を支払っているという。
 原告側は「国の指針は司法判断を拘束しない」と主張。低線量被ばくの安全性は解明されておらず、区域外でも「住民の不安はもっとも」で、指針に基づく東電の賠償対応は「不十分だ」と訴える。
 東電は「法令上の根拠に基づき十分な合理性・相当性がある」、国は「内容は合理的」とそれぞれ指針の妥当性を唱えている。