東日本大震災の復興基金調査で、基金用の財源を交付された東北の131市町村の執行率(2011~15年度)は50.1%だった。復興基金を巡っては、石巻市など全国21市町が基金で購入した防災ラジオの大半が未配布のままとなり、会計検査院から問題と指摘された例もある。基金の残り半分をいかに有効に使うかは大きな課題。これまでに工夫を重ね、有効に活用した自治体も多い。

 東京電力福島第1原発事故で一部地区が避難区域になった福島県川俣町は、子育て支援事業に特化して復興基金を活用する。原発事故後、町内から「子どもを屋外に出しても大丈夫か」と不安の声が多く寄せられた。
 事業化のきっかけは原発事故に絡む風評被害だった。2011年9月、愛知県日進市の花火大会で、川俣町の事業者が製造した花火に対し、放射性物質の拡散を心配する市民の苦情が相次ぎ、打ち上げが中止になる事態があった。
 その後、日進市側が謝罪。それを機に交流が始まり、13年には町のスポーツ少年団が日進市の子どもたちと長野県で交流する事業に発展した。事業費93万円は復興基金を充当。その後も派遣先を変え、一般財源も活用して継続的に保養と風評被害の払拭(ふっしょく)に努める。
 町企画財政課は「基金があったから従来の復旧、復興の枠にとらわれない施策ができた」と話す。