福島県相馬市西部にある玉野小、玉野中がともに創立68年の歴史に幕を閉じる。少子化に加え、東京電力福島第1原発事故に伴う自主避難で児童生徒が急減し、市が本年度末での廃校を決めた。23日には小学校の卒業式が行われ、最後の卒業生1人が地域の学びやを巣立つ。
 玉野地区の住民は400人程度。150戸ほどが山あいに点在する。原発事故の影響を受け、除染後も通学路には高線量の地点が残る。避難区域に指定されなかったものの、子育て世代を中心に10世帯以上が市中心部に移住したとみられている。
 玉野小の在籍児童は5、6年生が1人ずつ。この4年間は新入生ゼロが続き、原発事故前の在籍児童23人から大きく落ち込んだ。中学校も6人が今春卒業し、1、2年生は4人にとどまる。
 玉野小最後の卒業生となる6年千葉竜司君(12)は、5年時に転入してきた。それまでは母の出身地の中国・ハルビン市で避難生活を送っていた。中国語での教育期間が長く、今は日本語の勉強に力を入れている。
 「帰国後、スキー教室に行ったのが一番の思い出」という千葉君。4月からは市中心部の中学校に1時間かけてバス通学する。「語学を頑張って授業を理解できるようになりたい。中学では卓球部に入るつもり」と目を輝かせる。
 運動会を住民と一緒に行うなど、これまで地域も一体となって学校を盛り上げてきた。昨年秋の小学校の学習発表会では、高齢者らも参加して踊りなどを披露した。
 玉野地区は戦後、入植者が相次ぎ、小学校に200人ほどが通っていた時代もあったという。地元区長の伊藤一郎さん(69)は「近年のような少人数では社会性を育むのは困難。子どもたちの将来を考えれば廃校は仕方がない」と話した。