東京電力福島第1原発事故で全町避難する福島県大熊町の町民が入居する会津若松市の松長近隣公園仮設住宅で、避難生活を支えてきた商店「おおくまステーション おみせ屋さん」が19日、閉店する。仮設住宅の入居者減で利用客が減ったため。3日間にわたる閉店セールが17日に始まった。
 商店は2011年10月、町の要請を受けた町商工会の会員14人の出資で開業した。食料品や日用品を販売。交流スペースや駄菓子販売のキッズコーナーもあり、町民や地元の子どもたちでにぎわってきた。
 仮設住宅は市郊外の丘にあり、周辺に店舗は少ない。おみせ屋さんは元日を除き年中無休で営業。電話注文にも応じ、高齢者の安否確認を兼ねて商品の配達もした。
 店長の山本千代子さん(64)は「避難生活でストレスがたまり、酒だけ飲んでいる男性がいて、お煮しめを作って持って行ったこともあった」と話す。
 仮設住宅には最も多い時点で約210世帯が入居。現在は約30世帯に激減した。商店の売り上げも落ち込み、役割を終えたとして閉店が決まった。
 山本さんは「町民に恩返しをしたいという思いでやってきた。達成感はあるが、寂しい思いでいっぱい。お客さんの笑顔を見たときがうれしかった」と話す。
 原発事故前、山本さんは大熊町でスナックを36年間経営していた。町の復興拠点として整備が進む大川原地区で店を開くのが夢だという。「町に帰るのは高齢者が多いと思うので、バリアフリーで車いすの人がカラオケを楽しめる居酒屋にしたい」と前を見据える。