レンタル大手TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)を指定管理者とする多賀城市立図書館(宮城県多賀城市)が、21日で開館1周年を迎えた。入居するJR仙石線多賀城駅前の再開発ビルの利用者は年間目標の120万人を超え、11日に150万人を突破。一日の平均利用者は4200人と好立地を背景に利用は伸びているが、課題も残る。(多賀城支局・佐藤素子)
 CCCが手掛けた公立図書館のうち初年度に年間利用者が150万人を超えたのは多賀城市のみ。書店やカフェなどが入る複合施設で単純比較はできないが、佐賀県武雄市の92万人、神奈川県海老名市69万人を上回った。
 年間貸出冊数は多賀城市が約80万冊で、海老名市約69万冊、武雄市約55万冊に比べてトップ。年間貸出人数は、人口が約2倍の海老名市が約24万人なのに対し、多賀城市は約23万人と好調だった。
 多賀城市の旧図書館との比較でみると、貸出人数は7倍、貸出冊数は5倍と大幅に増えている。
 新図書館の催事は、読み聞かせサークルなどが行うおはなし会や、入居するカフェと行う子ども向けコーヒー入れ方講座、速読講座など、多彩でユニークなプログラムが人気だ。
 CCCが昨年9月に利用者を対象にしたアンケートでは、新図書館の魅力に「駅前」の立地を筆頭に「カフェがある」「おしゃれ」「年中無休」などが挙がった。おはなし会に参加した多賀城市の主婦谷由美さん(37)は「娘と週に2、3回、週末は家族4人でよく利用する」と満足そうだ。
 好調な滑り出しだが、市が課題とするのが、市民の利用率向上。アンケートの利用者の内訳は「多賀城市」が3分の1で、「仙台市」「塩釜市などの近隣市町」からが3分の2を占めた。
 市は市民の利用率50%を目標を掲げているが、実際は約20%。CCCは2カ所の分室のあり方や移動図書館の巡回路を見直すなどして利用者の掘り起こしを進める。高橋聡・CCC公共サービスカンパニー長は「地域密着を掲げて参加型イベントを充実させ、人の動きを可視化したい」と話す。
 当初課題が指摘されたCCC独自の図書分類法については批判もある。多賀城の歴史の著書が多い藤原益栄市議は「旧図書館にあった郷土資料をまとめたリストがなくなった。国特別史跡多賀城にゆかりの深い研究者の資料も分散し、不親切」と注文を付ける。
 新図書館は特別史跡を抱える歴史のまちとして、菊地健次郎市長が「東北随一の文化交流拠点」の中核施設と位置づけて建設した経緯がある。だが、周辺にある市文化センターや市埋蔵文化財調査センター、市民活動サポートセンターなどとの連携はいずれも緒に就いたばかりだ。
 新図書館の指定管理料は年間約3億円。市生涯学習課の萱場賢一課長は「多額の費用が投入された施設。どれだけ利用者を定着させられるか、目指した機能が果たせるか、きちんと育てたい」と2年目を見据える。