8年ぶりの選挙戦となった秋田県知事選は、無所属現職の佐竹敬久氏(69)=公明・社民支持=が、他候補に20万票以上の大差をつける独走で3選を決めた。3期務めた前職寺田典城氏(76)との対決という異例の構図だったが、政策論争は終始低調。「現職1強」の状況下の争点なき戦いとなり、有権者の関心を喚起できないまま終わった。
 共産党新人の元県議山内梅良氏(69)を含む3候補の顔触れと訴えは新鮮味が乏しく、投票率は過去最低となった。
 人口減対策など喫緊の課題は山積するが、3人が示す処方箋は似通っていた。佐竹氏は選挙期間中、「争点は個々の政策ではなく、人の性格だ」と発言。政治手法で差別化を図り、「手堅さ」を印象付けるような訴えを繰り広げた。
 政策論争が盛り上がらない中、佐竹氏は現職の強みを発揮した万全な組織力で安定した戦いを展開。自己最多得票となり、企業誘致などの産業振興を重視した2期8年の実績が一定程度、評価された形になった。
 対する寺田氏は佐竹県政への攻勢を強め、批判票の取り込みによる浮上を狙った。横手市長2期、知事3期、参院議員1期と豊富な政治キャリアを背景に、県政改革を主張。しかし、選挙戦で無敗を誇った往年の求心力は最後まで見られず、敗れ去った。
 堅実な県政運営が持ち味の佐竹氏だが、「政策は踏み込み不足だ」との声が「佐竹与党」の自民党県議からも上がる。県は全国最速で少子高齢化が進み、今春の人口100万割れは確実だ。地元企業で人手不足感が生じるなどの影響が表面化している。人口減の速度を少しでも抑制するため、より踏み込んだ政策展開が望まれる。(解説=秋田総局・渡辺晋輔)