9日投開票の秋田県知事選は、現職の佐竹敬久氏(69)が33万5000を超す得票で3選を決めた。1997年の知事選以来、20年ぶりの激突として注目された前職の元参院議員寺田典城氏(76)と、共産党新人の元県議山内梅良氏(69)を大差で引き離した。佐竹氏が全25市町村で完勝した8年ぶりの選挙戦を検証する。(秋田県知事選取材班)

◎佐竹県政3期目へ(上)支援の温度差

 9日午後8時すぎ、秋田市川尻町の佐竹氏の事務所に当選確実の一報が入ると、社民党県連代表の石田寛県議は、他の会派の県議や佐竹氏の支持者と共に立ち上がって拍手を送った。

 佐竹氏は今回の選挙で、自民党県連や公明党の支持のほか、連合秋田の推薦を受けた。盤石に見える「オール与党」態勢だったが、足元では微妙な温度差があった。

<自主投票を検討>
 佐竹氏の支持を巡って揺れたのが社民党県連だ。
 同党県連は佐竹氏が初当選した2009年、無投票だった前回13年の知事選で佐竹氏を支持。今回も3月に支持を決めたが、その過程で佐竹氏の政治姿勢に内部から異論が噴出した。

 佐竹氏は1期目、県議会の各党・会派と等距離の関係を保った。共産党県委員会も評価をし、前回知事選は候補擁立を見送った。

 だが2期目に入ると、その距離感は「自民党の絶対多数を背景に大きく変質した」(共産党県委員会幹部)と見えるようになり、同党は今回の知事選で山内氏の擁立に踏み切った。

 佐竹氏の距離感の変化を社民党県連も感じ取っていた。その一つが、15年7月の県議会で、自民、公明両党会派の賛成多数により可決された安全保障関連法案の早期成立を政府に求める意見書だ。

 「今回、佐竹氏を支持するに当たって一番大きな壁となったのが平和問題だ」と石田代表。自民党会派との関係を深める佐竹氏に対し、社民党県連内部には「今回は支持すべきではない」との声が強く、自主投票も検討した。

<連合は高く評価>
 自主投票に踏み切れなかった大きな要因が、連合秋田との関係だ。
 同党県連の大きな支持母体が自治労県本部と県職労。両者は今回の知事選で佐竹氏を推薦し、両者が加盟する連合秋田も佐竹氏を推薦したことを踏まえると、支持せざるを得なかった。それでも、同党県連の一人は「佐竹氏への不信感から、組織として選挙運動には携わっていない」と明かす。

 一方の連合秋田の幹部は佐竹氏を「県議会で自民党と渡り合える度量がある。自民党べったりとは思わない」と高く評価する。

 選挙戦では、佐竹氏の演説会場に幹部が顔をそろえ、「全力で応援する」(鈴木洋一自民党県議会会派会長)と前のめりの自民党県連と「共闘」した。社民党県連とは力の入れ方にかなりの差があった。

 内部に不満を抱えながらも支持基盤にあえてとどまった社民党県連。石田代表は「自民党寄りの姿勢を正すよう、今後、支持基盤の一員として強く言い続けていく」と述べた。