山形大病院(山形市)でがん治療に関わる医師らが集まり、病院の責任で適切な治療法を検討する会議「キャンサートリートメントボード」(CTB)が、導入から10年目に入った。検討した症例は3800件を超え、病院の担当者は「治療の質の向上に役立っている」と話す。
 同大医学部CTB室に2月末、内科医、外科医、放射線腫瘍医、薬物療法専門医、緩和ケア専門医、薬剤師、看護師ら約40人が集まった。根本建二病院長の進行で、内科医が患者のCTスキャン画像やカルテをスクリーンに映し、治療案を説明した。
 続いて専門医らが手術、化学療法、放射線治療から最適な手法を検討。「切らなくて済むなら、放射線治療が望ましい」「これまでと別の抗がん剤を使うべきだ」などの意見を踏まえ、放射線治療と抗がん剤を組み合わせる方針を決めた。
 病院によると、国内では患者が外来でかかる内科、外科で治療法を決めるケースがほとんどだった。治療に複数の専門医が関わる米国のシステムに倣い、病院が治療法を決める山形大独自の検討会議を、全国に先駆けて2007年9月に始めた。
 嘉山孝正医学部参与は「オープンに議論してみんなが納得する治療方法を選べば、患者の安心につながり、医師の思い込みも防げる」と狙いを説明する。19年開始予定の重粒子線がん治療もCTBで決める。
 07年の導入後は毎週火、水曜日にCTBを開くほか、緊急性が高い場合は臨時にスタッフを集める。年間の開催数は200回を超え、参加するスタッフの数は、延べ5000人に達する。
 17年1月までの検討症例数は3814件。検討の結果、当初の治療案を承認したのは30%だった。ほかは29%が複数の案から治療法を選び、18%は治療法を変更。判断材料が不十分だとして、再検査を決めた症例も10%あった。
 山形県内の中核病院のうち、山形済生病院、県立中央病院(ともに山形市)に専門医を派遣し、CTBを開く取り組みも始めている。根本病院長は「今後、CTBが患者の生活の質の向上や、生存率にどれぐらい貢献しているのか検証する。県内外の病院への普及にも努めたい」と話した。