高齢ドライバーの重大事故を防ぐため、75歳以上の運転免許保有者に対し、記憶力や判断力の認知機能検査を強化する改正道交法の施行(3月12日)から1カ月がたった。秋田県警は本年度、高齢者自身に健康状態を適切に把握してもらい、運転免許の自主返納につなげようと、運転免許センター(秋田市新屋南浜町)に看護師を常駐させた。東北初の取り組みは、高齢者の事故防止につながるとして期待が集まる。

 「運転中にヒヤッとしたことはありませんか」。免許交付を待つ高齢者に声を掛けるのは、今月1日付で看護師として採用された佐々木優子さん(45)=秋田市=。保健師の免許も持っており、病院や地域包括支援センターなどで勤務した経験がある。
 佐々木さんは高齢者を中心に来訪者の相談に乗り、免許の自主返納を促したり、医療機関の受診を勧めたりしている。
 「運転中の判断が若い頃に比べて鈍ってきた」と打ち明けるのは秋田市の農業女性(71)。しかし、収穫した野菜を直売所に運ぶのに車は欠かせず、「免許は返納できない」と話す。
 佐々木さんは「運転をやめることが高齢者の楽しみや役割を奪うこともある。自主返納を強制するのではなく、選択肢の一つとして提示するよう心掛けている」と話す。
 県内では、高齢ドライバーの割合が高まっている。県警によると、2016年3月末現在、65歳以上の免許保有者は17万9947人で、免許保有者全体(68万1839人)の約26%。高齢者の運転による事故も増え、16年に65歳以上が過失の重い「第1当事者」になった県内の事故は523件で、前年と比べ15件増えた。
 佐々木さんは免許センターを訪れた高齢者やその家族に「運転中にセンターラインを越えたり、車をこすったりするようなら自主返納を考えた方がいい」と助言する。
 県内の65歳以上の免許返納者は年々増加し、16年には統計を取り始めた02年以降最多の3252人になった。免許センターの竹本誠次長は「看護師と気軽に話をする中で、運転に自信がある人も、自分の身体の状況を客観的に把握する機会にしてほしい」と話す。
[運転免許の自主返納]秋田県警は運転免許の自主返納者に、免許証サイズの「運転経歴証明書」を交付している。返納者の氏名や住所、所持していた免許の種類などが記載され、身分証代わりにもなる。65歳以上の場合、証明書を提示するとタクシー料金が1割引きになるなどのサービスがある。