福島県の補助金で建設された同県広野町の工場がほとんど稼働していない問題で、製造プラントを約2億8500万円で工場に納入したとされる松江市の汚染水処理会社が、主要な機器類を7500万円でメーカーから仕入れていたことが15日、分かった。県は、補助対象のうち設備費が4倍近くに膨らんだ経緯について調査を進める。

 工場は、除染作業で発生した汚染水処理剤の製造拠点として、いわき市の建設会社が建てた。総工費約3億4000万円のうち、約2億3800万円が補助金として支給された。
 関係者の証言や関係書類によると、製造プラントは汚染水処理会社が四国地方の計量機器メーカーに発注。メーカーは、自社製品を含む機械設備の納入や設置工事を広野町の現地で行った。納入額は設置を含め7500万円だった。
 一方、汚染水処理会社は、プラント整備費として約2億8500万円を建設会社に請求。建設会社は工場の建築費を加えて、県に補助金を申請した。
 メーカーが汚染水処理会社に、処理会社が建設会社にそれぞれ提出したとみられる見積書には自動包装機やロボットアームなど、ほぼ同じ名称の機器類が記載されている。
 だが、それぞれの単価は大きく異なる。包装機は1700万円から3200万円、ロボットアームは550万円から5400万円、計量機は650万円から2200万円に変更されている。いずれも2~10倍の開きがある。
 汚染水処理会社の社長は「購入機器を独自技術で加工した。設計経費なども含んだ価格だ」と説明。個別の単価については「製造のノウハウに関わり開示できない」としている。
 建設会社の社長は「製造プラントは全て汚染水処理会社に任せている。メーカーの請求書も確認していない」と話した。補助金交付窓口の県企業立地課は「水増し請求がないかどうかを含めて慎重に調査を進める」とした。
 建設会社は、東京電力福島第1原発事故からの産業復興などを支援する「ふくしま産業復興企業立地補助金」を利用し、2015年1月に工場を建設。県の「エコ認定」を受けた除染資材を製造するとしていたが、完成直後から、ほとんど稼働していない疑いがある。県は昨年12月に立ち入りを行うなど調査を続けている。