今村雅弘復興相(衆院比例九州)が4日の記者会見で、東京電力福島第1原発事故に伴う自主避難者の帰還を「本人の責任」と言い放った。質問を繰り返す記者に激高し、「うるさい」「出て行きなさい」と暴言を吐いた。

◎東京検分録

 新年度初の記者会見という公の場でキレた。過熱したやりとりに、事務方が助け舟を出さなかったことも疑問だったが、脇に置く。
 問題は自主避難者の「自己責任論」だ。国策で推進した原発で事故が起きなければ、人々が避難することはなかった。発言はこの極めてシンプルな因果関係を無視しており、差別を助長しかねない。
 今村氏は国の対応を巡って「裁判でも何でもやればいい」とも言い切った。東日本大震災から6年がたち、被災者を突き放すような国の考えが透けて見える。
 今村氏は4日夕、暴言を謝罪。6日の衆院震災復興特別委員会で自己責任論を謝罪し、翌7日の記者会見で撤回した。安倍晋三首相も8日に陳謝するなど政府は火消しに躍起だ。
 被災地の議員からは与野党問わず批判が相次いだ。自民党の根本匠・元復興相(衆院福島2区)は6日の特別委で「いま一度気を引き締め、司令塔として東北の復興を全力で進めてほしい」と注文を付けた。
 「ここ何代かの復興相は被災地にゆかりもなく、震災当時の事情も全く知らない」と指摘するのは民進党の安住淳代表代行(衆院宮城5区)。「被災3県の人は大臣に親近感を持っていないと思う」と代弁する。
 福島県によると、2016年10月時点の自主避難者は2万6601人。避難先は45都道府県に及ぶが、県は3月末、住宅無償提供(15年度事業費約70億円)を打ち切った。
 今村氏は「一番身近で事情も分かっている福島県がまず対応し、国は県をしっかりバックアップしたい」と繰り返すが、東北の閣僚経験者は「県に預けたら、復興庁の存在意義がなくなる」と反論する。
 失言により国会審議が滞って復興施策の展開が遅れれば、結果として被災者を二重に傷つけてしまう恐れがある。復興庁は明確な当事者意識と弱者に配慮したまなざしを庁内全体で確認し、新年度のスタートを仕切り直すべきだ。
(東京支社・瀬川元章)