大手企業が、東日本大震災の被災地で展開するCSR(企業の社会的責任)活動の拠点を再構築する動きが出ている。ソフトバンクは新年度、仙台市に専属スタッフ3人を配置。現場のニーズをよりきめ細かく拾う体制を整えた。KDDIは2012年に開設した同市の支援拠点を本社に移し、被災地で得た課題解決のノウハウを本業に幅広く応用していく構えだ。

 ソフトバンクは今月、青葉区の東北オフィスにCSR統括部の分室を開設した。社会貢献の専属社員3人が駐在し、被災地にとどまらず、東北各地の多様な課題を支援する。
 3人は、同社が取り組む人型ロボット「Pepper(ペッパー)」を活用した社会貢献プログラムにも関わる。同プログラムでは石巻専修大や石巻市の3高校と連携。防災教育や震災展示物の外国語による説明にペッパーを活用する。
 震災7年目の新たな人員配置の理由について、同社は「被災地の課題が個別化してきた」と説明する。震災直後は物資や人手など必要な支援が明確だった。時間とともにニーズは潜在化。個々の被災者特有の課題が生じ、外部から分かりづらい状況になっている。
 ソフトバンクグループの池田昌人CSRグループマネジャーは「この6年間、被災地を訪れ、現場に出なければ課題が存在するという事実が見えなくなると感じた。地域に根付いたサービスをどう社会貢献に生かせるか検討したい」と分室設置の意図を語る。
 KDDIは今月、仙台市にあった社長直属の復興支援室を本社に移し、ビジネスIoT推進本部配下の「地方創生支援室」に変更した。同社は「部署を名称変更し、活動範囲の拡大を図る。復興支援で得た知見を横に展開すべき時期だ」との認識を示す。
 昨年の熊本地震や鳥取地震など国内で大規模災害が頻発しており、復旧や復興における企業の役割は高まっている。過去の災害での対応手段や支援過程で生まれたビジネスが、新たな災害現場で活用される事例も増えてきた。
 復興支援室に在籍した6人はそのまま新部署に異動した。復興支援を続けながら、多様な機器をネットワークでつなぐ「モノのインターネット(IoT)」を活用したニーズを探る。
 同社は現在、東松島市で定置網漁業にIoTを活用する実験を続けている。新部署では被災地発のイノベーション(技術革新)を全国に応用する考えだ。