山形市の県郷土館「文翔館」の時計塔に通い、国内で2番目に古い機械式大時計の分銅を巻き上げ続ける熟練の技師がいる。「街のシンボルに関わることができるのは光栄なこと。生涯現役で付き合いたい」と、100年を超える時を刻み続けた大時計に愛着を寄せる。10日は「時の記念日」。恒例の見学会が開かれ、市民らに時計塔の内部を案内する。
 分銅を巻き上げているのは、山形市三日町で時計店を営む桝谷二郎さん(85)。国民学校高等科を卒業して勤めた時計店が、大時計のメンテナンスを請け負っていて、2年ほどねじ巻きに通っていた。
 文翔館は1916(大正5)年建設の旧県庁舎・県議会議事堂。改修工事を経て郷土館としてオープンした95年、大時計の仕組みに明るい桝谷さんに再び管理作業が委ねられた。以来、雨の日も雪の日も4日おきに時計塔へ足を運び続ける。
 時計の動力源は重さ26.5キロの分銅。ワイヤでつり上げられていて、5日間で約7メートル下がる。桝谷さんは分銅を巻き上げるハンドルを手に「今度来る時まで正確に動き続けてくれ」と思いを込める。
 文翔館を運営する県生涯学習文化財団によると、時計は現在、国内で稼働する機械式時計としては札幌市の時計台に次いで2番目に古く、84年に国の重要文化財に指定された。
 10日の見学会は既に定員に達した。見学会は毎年6月の「時の記念日」のほか、10月にも開かれている。