建設会社の安藤ハザマ(東京)は9日、東京電力福島第1原発事故の除染事業で、作業員の宿泊費の領収書を改ざんするなどし、福島県いわき市と田村市に計8千万円を水増し請求していたとする調査結果を公表した。記者会見した野村俊明社長は「おわび申し上げる」と謝罪した。
 同社によると、水増ししていたのは両市内の除染やモニタリングを行う事業。同社の男性社員(49)が下請け業者に指示して宿泊単価を増額させたり、人数を実際より多く見せかけたりしていた。下請け業者の子会社は、いわき市内で作業員用の宿舎を運営している。
 いわき市では、宿泊代1泊5千円の単価を7500円に、作業員約1万1千人を約1万5千人に水増し。田村市では単価5千円の宿泊代を5500円に、作業員5600人を約1万人に変更させた。水増し額はいわき市が約5300万円、田村市が約2700万円だった。
 ただ、領収書が改ざんされたのは宿泊費を含めた除染事業全体の両市の支払額が最終確定した後で、この額に水増し分は反映されていない。安藤ハザマは「現時点で不正受給とは断言できない」としている。関わった男性社員は同社の調査に「軽率だった」と話しているという。
 同社はこの2件を含め、福島県内で計9件の除染事業を請け負っている。社員が水増しした動機や他にも問題がないかを引き続き調査する。
 この問題では、環境省も局長をトップとする調査チームを8日に立ち上げ、調査を開始。安藤ハザマが受注した国の除染事業も対象とし、関係者らから事情を聴くことを検討している。

◎いわきと田村市「謝罪ない」憤り
 いわき、田村両市の除染事業を巡り、工事を受注した安藤ハザマが領収書の改ざんと水増し請求を認めたことについて、両市は「謝罪がない」などと憤った。
 水増し額が約5300万円に上ったいわき市は、返還請求を含めて法令に基づき厳正に対処する方針。清水敏男市長は「除染事業の信頼を失墜させ、被災地の住民の思いを傷つける行為。許しがたい怒りを感じている」との談話を出した。
 水増し額が約2700万円の田村市で除染事業を担当する佐藤好則市民部長は「(水増しを認めた9日の記者会見について)開催の連絡を受けただけ。(市に)説明に来るとの話もない」と語った。
 今後について「不正が事実なら大変な問題。水増し分の返還請求は当然。刑事告訴などは国や県と相談して考える」と説明した。