秋田県農業試験場(秋田市)が開発した県産初の醸造用一般米「ぎんさん」を使った、安価で高質な純米酒造りが県内で進んでいる。山田錦や秋田酒こまちといった酒造好適米(酒米)より安く、あきたこまちなど一般米に比べ収穫量や醸造した酒の味が優れている。秋田銘醸(湯沢市)は、ぎんさんを使った新商品「美酒爛漫(らんまん) 特別純米酒」を15日に発売する。

 県農試によると、ぎんさんの1アール当たりの収穫量は72.3キロで、63キロのあきたこまちに比べて15%多い。酒の雑味の原因になるタンパク質の含有率が低く、県総合食品研究センター醸造試験場(秋田市)の大野剛主任研究員は「価格の割に品質の良い酒ができる」と評価する。
 ぎんさんは2013年、県農試が品種登録を出願した。収穫量が多く味のいい加工用米を開発しようと04年から育種を進め、09年に醸造試験場、12年には秋田銘醸が加わり、醸造特性の実験や分析を続けてきた。
 県産日本酒の原料は酒米が約3割、一般米が約7割。酒米は酒の品質を向上させる半面、倒れやすいなど栽培に手間が掛かる。収穫量も少なく、60キロ当たりの価格は加工用一般米の約1万円に対し、約2万~5万円と高い。
 ぎんさんは、あきたこまち並みに寒さに強く倒れにくい。酒米のような特別な栽培技術も必要なく、加工用一般米とほぼ同じ1万円前後という。農試の川本朋彦上席研究員は「食味も良く、業務用の食用米としてもいける」と期待する。
 秋田銘醸は、ぎんさんを使った純米酒を15年9月に発売した。15日発売の「美酒爛漫 特別純米酒」は精米歩合を大吟醸クラスの50%にした。飯塚勝彦取締役製造担当は「すっきりして香りが立つ。若者や女性にも飲んでほしい」と話す。
 720ミリリットルで1350円(税込み)。連絡先は同社(0120)735544。