クマに人が襲われる事故を低コストで効果的に防ごうと、秋田県潟上市のつくだ煮製造業「菅英佃煮本舗」が、製造過程で出るたれの残りなどを秋田県内の市町村に無料で提供する取り組みを始めた。捕獲用のおり内でクマの気を引く誘引剤として使ってもらう。

 たれには水あめや砂糖、しょうゆなどが含まれており、甘辛い香りがある。ワカサギを油で揚げた商品を製造する際に出る天かすと併用すると効果が増すため、合わせて提供する。「クマに壊されない金属製容器に入れて使う」といったノウハウをまとめた注意書きも添付した。
 約10年前、同社近くに出没したクマを捕獲する際、残っていたたれを地元猟友会に提供。誘引剤として効果があったため、近隣の要望に応じて譲ってきた。今回、県を通じて提供を申し出たところ、鹿角、横手両市など6市町から要望があった。
 多くの自治体は、クマの誘引剤に蜂蜜入りシロップを使っている。ハチが蜜を吸うこともあるため定期的に補充する必要があり、26台のおりを所有する鹿角市の場合、年間3万~4万円の蜂蜜を購入している。同市農林課の担当者は「届いたら、すぐに使ってみたい」と期待を寄せる。
 製造上、たれが残る量は少ないため、2週間待ちだという。要望が多ければ、来年以降は廃棄していた分を冷凍保存し、提供することを検討している。
 菅原英孝社長(65)は「クマの個体数が増え、人家近くまで出る例もあると聞く。捕獲に協力したい」と話した。