東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質で汚染された国の基準(1キログラム当たり8000ベクレル)以下の廃棄物処理で、県が18日提案した県内一斉焼却の見直しに対し、首長からは問題解決の前進を期待する声が上がった。一方、廃棄物処理を地元に委ねた新方針に対し、自治体と住民の対立を懸念する意見も出ている。
 県庁講堂であった市町村会議の席上、村井嘉浩知事は栗原、登米両市の名前を繰り返し挙げながら、新たな方針について説明した。
 県内焼却施設での一斉処理に難色を示し、堆肥化やすき込みの手法を模索している両市。4月の市長選で市長が共に交代したが、方針は大きく変わっていない。熊谷盛広登米市長は「ベストではないがベターな提案」との見方を示し、千葉健司栗原市長も「難しい判断だったと思う」と知事の心中を推し量った。
 汚染廃棄物を一斉焼却処理する方針に代わり、廃棄物がない他自治体に家庭ごみの受け入れを求める提案は、「現実的な提案」(伊藤康志大崎市長)と前向きな意見が多かった。
 従来方針では、規模の大きい焼却炉を複数保有する仙台市での処理推進が不可欠とされた。新方針は汚染廃棄物ではなく、家庭ごみの焼却で他自治体に協力する形になる。会議で仙台市の奥山恵美子市長は「基本的には受け入れ可能ではないか」と評価した。
 試験焼却の受け入れを決めている仙南2市7町でつくる仙南地域広域行政事務組合。理事長の滝口茂柴田町長は「各首長の意見を聞き、ゴーサインが出せるか再確認する」と話した。
 新方針を踏まえ、県は当初、7月2日に次回会議を開き意見集約する意向を示したが、「住民に説明する時間が足りない」(気仙沼市)との意見が相次ぎ、7月下旬ごろに時期をずらすことにした。
 各自治体は、地域住民の意向確認や議会との調整など難しい対応を迫られる。加美町の猪股洋文町長は「焼却場と処分場がある自治体では、合意を見いだせるような状況になっていない。知事は焦っているが、自治体と住民の対立を生むだけだ」と批判した。
 会議終了後、村井知事は「栗原、登米両市が一斉焼却に参画できないので、現実的な対応を示した」と転換の理由を説明。次回会議で合意に至らなかった場合について、「これ以上、県は手の打ちようがない、というのも一つの結論になる」とくぎを刺した。