バーチャルリアリティー(VR)による「九戸城」の再現に、二戸市と岩手県立大(滝沢市)が取り組んでいる。ゴーグル型ディスプレーを装着すると、城内の建物や合戦の様子を体感できる。戦国時代にタイムスリップした気分を観光客に味わってもらおうという試みだ。
 国指定史跡「九戸城跡」(約34ヘクタール)に、かつてあった本丸、城門、馬小屋などをコンピューターグラフィックで復元。コントローラーを操作して地点を切り替え、体の動きに合わせて360度の映像を見渡せる。
 九戸城は、豊臣秀吉が天下統一を成し遂げた最後の戦場として歴史に名をとどめる。城主九戸政実(まさざね)が5000の兵で6万の豊臣軍を迎え撃った「九戸の乱」(1591年)も目の前で繰り広げられる。
 VR映像の制作は昨年7月、岩手県立大の地域協働研究としてスタート。現存する建物資料が極めて少ないため、現地視察や市教委の歴史考察で往時のイメージを膨らませた。
 プリマ・オキ・ディッキ准教授(画像処理)は「観光はもちろん、子どもの歴史教育にも役立つはず。日本特有の四季の移ろいなども表現し、さらに質を高めたい」と意気込む。8月の完成を見込んでおり、ゴーグル型ディスプレーは九戸城跡ガイドハウスに複数置く予定。ガイドの説明を聞きながら使える。

[九戸城]15世紀末~16世紀初め、現在の岩手県九戸村周辺を治めていた九戸氏が築城。九戸の乱の後に南部氏が福岡城と改名したが、政実を慕う領民は九戸城と呼び続けた。1636年廃城。今年4月、日本城郭協会の「続日本100名城」に選ばれた。