山形大は6日、農作物の被害や生態系への影響が深刻な問題となっているシカの侵入を、鳴き声で検知する新しい手法を開発したと発表した。
 シカによる農業被害は年間60億~70億円に上り、野生動物の中では最大。下草を食べ尽くし、森林が衰退するなどの影響も全国に及んでいる。雪が多く、これまで被害が出ていなかった山形県のほか、青森、秋田県境の世界遺産白神山地の周辺でも侵入が確認されている。
 同大学術研究院の江成広斗准教授(野生動物管理学)のグループは、雄ジカが秋に縄張りを主張して発する鳴き声に注目。高性能の集音器で声を拾い、侵入を検知する。
 1台の集音器で検知できる範囲は約6ヘクタールに上り、自動撮影カメラでシカの姿を確認していた従来の手法に比べ200倍以上の範囲をカバーできる。江成准教授によると、鳴き声は音響ソフトで解析し、自動識別が可能という。
 グループは、この鳴き声に反応して別個体が鳴き返すことも初めて確認。録音した鳴き声を拡声器で流すことで、シカの生息密度も評価できるという。
 シカは繁殖力が強く、侵入の初期段階で検知できないと、増加を食い止めるのが困難になる。
 江成准教授は「手法は侵入初期のシカの検知に特に有効。侵入経路を特定し、リスク評価に役立てたい」と話している。