岩手県産米の最高品種「金色(こんじき)の風」に、パナソニックが熱視線を注いでいる。まだ市場デビューしていないにもかかわらず、銘柄別炊き分け機能が売りの高級炊飯器「Wおどり炊き」の最新機種に金色の風専用の炊飯プログラムを搭載。消費者ニーズと食味分析の両面で、家電業界が太鼓判を押した格好だ。

 金色の風は、県が産地を県南地方に限定して今春、約100ヘクタールに作付けした。500トンの収穫を見込み、今秋初めて市場に出回る。日本穀物検定協会の食味試験では最高の特A相当に認定されたが、あくまでも参考値にすぎない。
 Wおどり炊きは、パナ社独自の分析に基づき、銘柄ごとに最適な吸水時間や加熱温度で炊き上げる高性能炊飯器。市場想定価格は11万円前後と高額ながら、2016年度は10万台を売り上げたヒット商品だ。
 13年の発売以来、機種更新のたびに「コシヒカリ」「ひとめぼれ」などの炊き分け機能に新銘柄を追加してきた。本年発売の最新機種は、金色の風など新たに4銘柄を加えて50銘柄で炊き分けができる。
 ただ、金色の風のように市場に流通しておらず、消費者の評価も定まっていない段階での搭載は異例。パナ社によると、試験米を試食した担当者の評価が高く、市場デビューに先駆けての採用が決まった。
 パナ社キッチン商品課の中江睦主務は「粘りと軟らかさのバランス、程よい甘みと豊かな風味、冷めても硬くならない粒立ちが素晴らしい」と分析する。高水温で十分に吸水して粒を膨らませ、高火力で炊き上げるのが食味と食感を引き出すこつという。
 家電メーカーによる「先物買い」の動きを、金色の風の販路拡大を担う県の小原繁県産米戦略監は「発売に向けて消費者へのアピールになるだけではなく、生産者にとっても大きな糧になる。またとない機会だ」と歓迎している。