山形県米沢市三沢地区の住民らが、道路沿いや河川敷、空き地などの草刈りを行い、景観整備を進めている。地区内にある小野川温泉周辺の美観を保つと同時に、サルによる農作物被害を減らす効果も期待している。荒廃地を減らし、人の往来を増やすことで、サルと人との生活領域に線を引くことができれば、狩猟に頼らない共存型の猿害対策につながるという。

 温泉街に近い県道234号の沿道で6月下旬、住民たちが草刈りに汗を流した。のり面を覆った木々を業者に伐採してもらった後、持ち寄った鎌などで、すっきりと雑草を刈り取っていった。
 小野川地区町内会長の吾妻静夫さん(67)は「草刈りは定期的にやっている。景観を整えれば、人が近づき、サルが出没しにくくなる」と話す。
 三沢地区内で小野川温泉のある地域は、約150戸、500人が暮らす集落。周囲を山に囲まれ、近くを川が流れている。
 豊かな自然を生かし、カブトムシやトンボを観察できる場所を整備したり、夏にはホタルまつりを開いたりして、地道に景観整備に努めてきた。
 しかし、温泉街周辺の農地では10年ほど前から、サルの出没が目立ち始め、畑を荒らされる被害が徐々に深刻化。各農家が電気柵を設けるなどしていたが、サルとのいたちごっこが続いたという。
 行政や住民らで構成する三沢・田沢地区猿害対策協議会では、地元の景観整備の取り組みを拡大し、猿害対策に生かそうと小野川温泉のある地域をモデル地区に指定。2014年度に組織づくりを始め、緑道整備や空き地の草刈り、サルの餌となる柿のもぎ取りの徹底などを行ってきた。
 地元では40匹から80匹のサルの群れが観察されている。これまでの取り組みで具体的にどのくらい被害が減少したのか現時点で不明だが、吾妻さんは「害を及ぼすようなサルの出没が減ってきている感触はある」と話す。
 協議会事務局を務める米沢市農林課の担当者は「従来の駆除では限界があった。観光地として景観を整えていくことで人とサルの共存関係を生み、被害を減少させていければと期待している」と話す。