原子力規制委員会は10日の臨時会議で、東京電力ホールディングス(HD)の川村隆会長や小早川智明社長ら新経営陣を呼び、原発の廃炉や再稼働に関して聴取した。会合では、田中俊一委員長が福島第1原発の廃炉作業や汚染水対策を巡り、「福島県民と向き合う姿勢がない」と東電側を厳しく批判する場面があった。
 第1原発では汚染水発生が続き、浄化設備でも取り除けない放射性物質「トリチウム」を含む水の処分法も決まらず、構内に貯蔵タンクが増え続けている。田中氏は「いずれ(タンク増設の)土地がなくなり破綻する」と強調し、持論であるトリチウム水の海洋放出を求めた。
 風評被害を懸念する地元漁業関係者が海洋放出に反対であることを念頭に「東電は利害関係者である漁業者に向き合っていない。風評被害は漁業だけの問題ではない」と主張し、早期の判断を促した。
 廃炉作業に関し、福島県が溶融燃料など放射性廃棄物の県外での処分を国に要望した経緯に触れ、「(県外に)持ち出せないでしょう」と指摘。「そういう厳しいところに向き合うべきだ」と東電側に訴えた。
 田中氏は、東電の川村隆会長が会合で「福島への責任」として「日本のエネルギーにとって原子力が非常に大事と示していく」と述べたことに言及。「福島の人たちがそんな判断をしているとは思えない」と批判的な見解を示した。