東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の影響で労働力不足が深刻化する東北で、地元資本のスーパーが料金精算を客に任せる「セミセルフレジ」を相次いで導入している。会計時間の短縮でレジ台数を減らし、少ない従業員で対応できる利点がある。被災地は全国を上回るペースで人口減少が進んでおり、限られた人材の有効活用の面からも普及が加速しそうだ。

 ウジエスーパー(登米市)の小田原店(仙台市宮城野区)はレジ6台のうち5台がセミセルフ方式。店員が商品のバーコード読み取りを終えると、客は隣の自動精算機に移動。支払いの間、次の客の商品の読み取りが始まる。
 川向衡店長は「従来に比べ、1人当たりの会計時間が3割ほどカットされた。レジの台数が少なくて済み、スタッフを他の担当に配置できる」と話す。
 同社は宮城県内30店のうち17店でセミセルフレジを導入。求人が多く従業員の確保が困難な仙台市や沿岸被災地の店舗が中心だ。
 原発事故の影響で人口減が際立つ福島県浜通り地方を中心にスーパーを展開するキクチ(相馬市)は、全13店舗にセミセルフレジを設置した。「深刻な人手不足を解消し、求人活動の大きな武器になった」(同社販売部)という。
 レジ係は精算業務に一定の経験が必要で、金銭を扱う心理的負担もある。相楽雅彦販売部長は「商品読み込みという単純作業に専念できるので『セミセルフレジならできる』と考える未経験者が多かった」と採用段階のメリットを話す。
 大手コンビニや飲食チェーンは、人手不足の解消策として会計の全てを客が担うセルフレジの本格導入を目指している。一方、地方のスーパーの場合、システムに投資できる資金力に差があることから、セミセルフレジの設置が進む。
 セミセルフレジのシェア7~8割を占める寺岡精工(東京)によると、同社の製品を導入した全国のスーパーや小売店は6月末段階で約1336店。東北は宮城68店、福島52店など計194店に上る。同社の担当者は「17年度中にも全国で3000店に迫る可能性もある」と手応えを話す。