東北の地方銀行、第二地方銀行のうち、北日本銀行(盛岡市)と秋田銀行で新頭取が誕生した。長引く低金利政策で収益環境は厳しく、地域経済の活性化に向けた経営支援体制の強化も迫られている。喫緊の課題にどう挑むのか。新トップ2人に聞いた。

◎東北新頭取に聞く(上)北日本銀行・柴田克洋氏

 -頭取に就き、最も強く行員に呼び掛けたことは。
 「顧客のために労をいとわず、汗をかこうとメッセージを発信した。本部は徹底して現場をサポートする。営業店は取引先との接点を増やし、対面営業力に磨きをかけてほしい」

 -中小企業向け融資は事業性評価など質の高い金融サービスが求められる。
 「2017~19年度の中期経営計画は『進化』と『深化』をキーワードに挙げた。取引先とより親密な関係を築き、経営課題を解決できる体制をつくる」
 「専門人材の育成も欠かせない。医療コンサルタントに出向して経験を積んだ行員が、医療・介護関連の取引先を担当している。より高度な経営支援、アドバイスができる。経営者の高齢化に伴い、事業承継や合併・買収(M&A)のニーズも高い。こうした分野に詳しい行員も育てたい」

 -個人融資の考え方は。
 「当行は『庶民金融』が創業の原点だ。スマートフォン向けなど取引経路の開発、商品開発を強化し、収益の多様化を図る。『ほけんの窓口』との提携で資産形成ニーズにも応えたい。人口が減少しているとはいえ、個人ローンの市場は広げられると考えている」

 -三陸沿岸は東日本大震災からの復興途上にある。
 「被災地の経済は中期的視点で考えなければならない。4、5年すると復興工事は減り、作業員がいなくなる。交流人口を増やす必要がある。指定金融機関として関わりがある自治体と観光業者を結び付けるなど、できることをしたい」

 -日銀のマイナス金利政策で収益確保が難しい。
 「市場での運用が特に課題だ。国債は買えないので海外の金利を取るしかない。米国債の投資信託を運用しているが、変動リスクが伴う。売買単位を含め経営側が関与して管理することが大事だ。運用で大いに稼ぐという方針ではなく、安定収益を確保したい」

 -全国で地銀再編の動きが相次いでいる。
 「再編は考えていない。現時点では、中期経営計画の取り組みをベースに機動性を持って自主独立の道を進む。他行との連携は、顧客のメリットがあれば前向きに検討したい」

 -仙台の市場をどう見る。
 「仙台市内には六つの支店がある。仙台支店は創業から間もない時期の開設で、歴史が古く取引先も多い。仙台、宮城は『地元』という位置付けで個人、法人ともに存在感を広げていく」