東北の地方銀行、第二地方銀行のうち、北日本銀行(盛岡市)と秋田銀行で新頭取が誕生した。長引く低金利政策で収益環境は厳しく、地域経済の活性化に向けた経営支援体制の強化も迫られている。喫緊の課題にどう挑むのか。新トップ2人に聞いた。

◎東北新頭取に聞く(下)秋田銀行・新谷明弘氏

 -トップ交代で湊屋隆夫前頭取が会長に就いた。
 「会長職の設置は18年ぶりだ。人口が減り、日銀のマイナス金利政策の中で難しい銀行経営に立ち向かうため、トップ2人の体制にした。会長は対外的な仕事を担当し、私は顧客基盤や財務基盤の強化など内部を担う。二人三脚で進める」

 -秋田県の人口が100万を割り込み、経済の縮小が懸念されている。
 「中期経営計画で『地域経済の質を高める』と掲げた。製造業は売り上げのアップ、サービス業や小売業は交流人口の増加が鍵だ。アイデアをどんどん出したい。成長産業としては輸送機産業、再生可能エネルギー、農業、医療介護、観光の五つに重点を置く」
 「昨年10月からビジネスパートナーシッププロジェクトを始めた。県内の中核企業を対象に経営課題の把握や解決支援を行い、事業性評価に基づく融資も手掛ける。もちろん従前からやっていたことだが、より能動的に取り組む。地元製造業のOBら専門アドバイザーを6人配置し、取引先の相談に応じている。レベルの高い助言ができるのが強みだ」

 -行員にはどんなことを求めているのか。
 「企業を知るため、訪問頻度を2倍にするよう呼び掛けている。4月以降、役員が営業店を回り、渉外や融資の担当者に直接訴えた。会長や自分も取引先の訪問頻度を上げる。話をただ聞くだけではなく、本音を聞き取ることが大切だ」

 -昨年10月、東北の地銀では初めて台湾に駐在員事務所を構えた。
 「田沢湖と台湾の澄清(ちょうせい)湖が姉妹関係にあるなど秋田と台湾の関係は深い。関わりを生かし、経済交流を増やそうと開設した。観光を含め、中国や東南アジア各国との取引拡大につなげたい」

 -県外支店の営業にも力を入れている。
 「『外貨』を稼ぐという意図ではないが、地元秋田に還元するため県外で顧客を増やし、貸し出しを伸ばしたい。宮城の支店では行内の情報網を活用してマッチングができた。長い付き合いの企業もある。地道に訪問活動を続け、取引先の信頼を得たい」

 -地銀再編、他行との連携をどう考える。
 「再編後の姿が見え、顧客や行員にプラスにならなければ再編には踏み出せない。一方で青森、岩手両銀行とは勘定システムが同じで、既に連携を強めている。さらなる経費削減に向けた連携は可能だろう」