秋田県立大などの研究グループは14日、根から放射性セシウムを吸収しにくいイネの開発に成功したと発表した。福島県内の農地で行った試験栽培では、玄米に残る放射性セシウムの濃度が検出限界以下に減ったという。
 県立大の頼泰樹助教(植物栄養学)によると、品種改良に使う薬剤で突然変異を誘発したあきたこまち1万1000株を2011年に調べたところ、3株について自然界にあるセシウムが稲わらで約3割、玄米で約1割に減っていた。
 この3株は、生育に必要なカリウムを土から取り込む細胞壁のタンパク質「輸送体」のうち、カリウム濃度が低いときに活性化するOsHAK1(オーエスハックワン)が欠落していることが判明。この輸送体がセシウムも取り込んでいることが分かった。
 放射性セシウムでも同様の効果があることを確認するため昨年、福島県内の農地であきたこまちの栽培実験を実施。通常のイネが1キロ当たり44.4ベクレルだったのに対し、OsHAK1がないイネは検出限界値の4.92ベクレル未満だった。
 東京電力福島第1原発の事故後、農地ではカリウム散布によって放射性セシウム吸収を抑える対策が一定の成果を上げている。
 OsHAK1が欠落したイネは、カリウム濃度の高い状況で栽培したイネよりもセシウムの取り込み量が少なかった。コシヒカリなど他の水稲品種への応用も可能だという。
 頼助教は「イネのセシウム吸収のメカニズムが分かったことで、放射性セシウムを減らす方法を科学的に説明し風評を減らすことができる。他品種でも研究を進めたい」と話す。研究は県立大と筑波大、農業・食品産業技術総合研究機構農業放射線研究センター(福島市)が共同で行った。