先天性の腸の重病で2007年に来日し、東北大病院(仙台市青葉区)で治療を続けるネパール人の高校3年の少女(17)が滞在費不足で、帰国の危機に直面している。闘病を支える家族が、在留資格の問題で就労できないからだ。少女と家族は、日本での治療継続と就労を望んでいる。

 生まれつき腸の位置が異常だった少女は07年夏、腸捻転を起こしネパールの病院で小腸を摘出した。それ以上の処置ができずに衰弱したため、つてをたどって東北大病院に転院し、縫合などをやり直した。
 現在、仙台市内の高校に通う少女は毎日午後6時から翌朝午前6時まで、自宅で栄養剤を点滴している。本来は小腸から吸収するはずの栄養分を補うためで、心臓近くに埋めた管から命をつなぐ。
 容体は比較的安定しているが、管から雑菌が侵入して高熱が出たり、合併症で意識障害になったりして毎月数回、入院する。少女は「日本に命を救ってもらった。10年もいた日本で暮らしていきたい」と流ちょうな日本語で話す。
 来日当初から治療を担当する東北大大学院医学系研究科の和田基准教授(小児外科)は「ネパールの医療水準では対応できない病状だ。帰国させるべきではない」と指摘する。
 現実的には日本に残る道は閉ざされつつある。治療費と家族4人の滞在費は、一時は2000万円を超えた支援基金で賄ってきたが、10月には無くなりそうだという。
 この家族の場合、在留資格が治療や治療の付き添いに限定された「特定活動」に当たり、入管難民法で就労を禁じられている。
 法務省入国管理局は特定活動から就労可能な在留資格「定住者」への変更を原則認めていない。だが、入国後10年を経過するなどした人は一定の事情をくむ可能性があるという。
 家族は定住者への変更にかすかな望みをつなぐ。来日から10年が過ぎる今秋、資格変更を入管に申請する予定だ。父親は「働けない毎日が10年も続き、つらい。日本政府に特別な状況を理解してもらい、娘の命を家族で支えたい」と話す。