梅雨もまだ明けないうちから、夏本番の暑さに見舞われた今年。例年より早い盛夏の訪れに、涼を求める声があちこちであいさつ代わりになっている。ひとときの清涼と安らぎをもたらす光景を東北各地で探してみた。

◎2017夏・涼(3)滝の尻(青森・六ケ所村)

 地元の住民らが「弥次郎穴」と呼び、車1台がやっと通れる岩のトンネルを抜けると、松林の隙間から滝が目に飛び込む。観光情報誌にも載らない隠れたスポットだ。
 青森県六ケ所村の泊漁港から海岸沿いに約1キロ、東通村との境界付近に「滝の尻」はある。海岸までわずか数十メートル。海鳴りにかき消され、滝の音は近くに行くまで聞き取れない。
 名前の由来には諸説あるが、「尻」は近くの山から流れる沢の終わりを意味するという。海まで残りわずかの沢で、川魚が泳ぐ。
 沢は幅1メートル足らずで、滝となって高さ約7メートルから流れ落ちる。水温は真夏でも20度前後。遊びに来た子どもたちが「ひゃっこい(冷たい)」「ひゃっこい」と歓声を上げていた。
 泊地区の住民によると、滝は昔から子どもたちの憩いの場として親しまれ、数十年前までは地元の学校遠足の目的地の一つだった。
 沢が流れ出す海辺には、波の浸食でできた奇岩が多く、海岸沿いに絶景が広がる。
 村によると、観光地として売り出すには周辺の整備が必要。しばらくは「秘境」のままだという。