平家の落人伝説が残る米沢市綱木地区の伝統芸能「綱木獅子踊り」が15日、地元の寺跡に奉納される。集落の住民は現在3世帯4人にまで減ったが、江戸時代以前から続くお盆の恒例行事を絶やすまいと、地区出身の人たちと支援者らが組織する保存会が踊りを受け継ぐ。メンバーは地域の絆を確かめながら、本番に向けて稽古に励んでいる。
 綱木地区出身の人たちが多く住む、米沢市中心部に近い南原地区。全体練習会が6日にコミュニティーセンターであり、保存会のメンバー約20人がおはやしや踊りの手順を繰り返し確認した。
 言い伝えによると、綱木獅子踊りは平安時代末期、平家の落人が平家再興などを祈願して踊ったのが始まりとされる。江戸時代、踊りを奉納しなかった年に大火や土砂崩れが相次いだことから、それ以降、休むことなく続けられ、20年ほど前までは8月14日から三日三晩、各家を回って仏間で踊られたという。
 山形、福島県境の山あいにある綱木地区は藩制時代、会津街道の宿場町として栄えた。戦前は50世帯以上が住んでいたが、戦後は急速に過疎化が進んだという。
 獅子踊り保存会は、人口減少と高齢化を危惧した住民らが1960年に結成。その後、南原地区に移った地元出身者らが中心になって支えてきた。踊りとおはやしは、かつて門外不出、女人禁制とされたが、現在は10~90代の男女50人が会に加わっている。
 奉納先だった地元の「円照寺」は廃寺になって久しいが、踊りは今も寺の跡地で奉納される。今年は獅子演者の衣装3着を久々に新調した。住民の家での仏間奉納も約20年ぶりに行い、その後、「関東肥挟(ひばさみ)踊り」など3種を披露する予定。
 保存会の高橋国彦会長(74)は「今年もこの季節がやって来た。地区は住む人々が少なく寂しい限りだが、こうして1年に1度みんなが集って絆を確認し合っている」と話す。当日は関係者数百人が集まり、踊りを見守ることになる。