甲子園球場で開幕した第99回全国高校野球選手権大会で、明桜(秋田)が13日に初戦を迎える。4月からチームを率いる輿石重弘監督(54)は同校がハローワークなどに出した監督公募に応じ、高校教頭から転身した異色の経歴を持つ。
 開幕前の3日にあった甲子園練習。輿石監督はナインと一緒に外野の芝生に寝そべった。「まずは楽しもう。いろいろなところを見ようと。僕もやってみたかったんですよ」と笑った。高校野球に携わって30年余り。初めての聖地を堪能した。
 山梨県生まれ。地元の都留高を経て明大でプレーし、卒業後は山梨県の教員として母校で野球を指導。私立の帝京三(山梨)に移って監督や部長を務めた。昨夏に教頭に昇進してグラウンドから離れたが、白球への思いを捨て切れなかった。
 その頃、妻の麻美さん(50)から明桜が指導者を公募していることを知らされた。「夢をかなえて来て」。妻の一言に背中を押され、秋田行きを決めた。
 以前は自他共に認める厳しい指導者だった。年を重ねるごとに感じたのは「選手の可能性にふたをしてはいけない」ということ。自主性を重んじ、選手が萎縮することなく、最大限の力を発揮できるよう雰囲気づくりに気を配る。明桜では選手と共に寮生活を送り、グラウンド外でも信頼関係を築いてきた。
 就任直後の春の秋田県大会を制覇。第1シードで臨んだ夏の大会は機動力を生かした野球で勝ち抜き、甲子園の切符をつかんだ。
 13日の2回戦は二松学舎大付(東東京)と対戦する。輿石監督は「今まで取り組んできたことをしっかり復習して臨みたい」。平常心で初戦突破を目指す。(剣持雄治)