仙台市中心部で9、10日に行われる第27回定禅寺ストリートジャズフェスティバルで、久慈市を拠点に活動するビッグバンド「久慈ブルーノーツ」が2年ぶりのステージに立つ。昨年は開幕直前の台風10号豪雨でメンバーに被害が相次ぎ、出演を断念した。バンドマスターの及川治さん(65)は「1年でここまで復興できたのは奇跡的だ」と感慨深げだ。

 昨年8月末の台風10号豪雨で、メンバー約20人のうち3人が自宅全壊など甚大な被害を受けた。練習拠点の小屋も1メートル超の浸水で使えなくなり、大量の楽譜を失った。
 ジャズフェス開幕が目前に迫る中、及川さんはメンバーに「諦めろ」と出演キャンセルを告げた。市内の中心商店街が冠水するなど「誰も想像できなかった」(及川さん)惨状を前に即断した。
 メンバーらの心境は複雑だった。「行ける人には行ってほしかった」。久慈市内の自宅が大規模半壊したバリトンサックス担当の馬場徳雄さん(56)は当時を振り返る。
 自宅の片付けに追われ、演奏など考えられない状況だったが、公演スケジュールに穴を開ける申し訳なさで心はいっぱいだった。日常を取り戻した今、「昨年の分も頑張ろう」との思いは人一倍強い。
 練習拠点の床を張り替えるなどして修繕し、今年5月から本格的に活動を再開した。水害の影響でいまだに参加できないメンバーもいるが、本番では八戸市の友好バンドから助っ人2人を迎える。
 久慈ブルーノーツのステージは、青葉区の勾当台公園市民広場で10日午後1時から。曲目は昨年演奏するはずだったジャズのスタンダードナンバーだ。
 「2年分、うまくなっていないといけないけど(腕前は)変わらない」。及川さんは苦笑しつつ、「演奏できる私たちの喜びを分かってほしい」と本番を心待ちにする。