任期満了に伴う福島県いわき市長選(10日投開票)は終盤に入った。候補者3人が舌戦を繰り広げるが、市民の関心は低調だ。立候補しているのはいずれも無所属で、新人の元衆院議員宇佐美登氏(50)、前市長の渡辺敬夫氏(71)、再選を目指す現職の清水敏男氏(54)=自民推薦、公明支持=。顔触れは前回と変わらず、自民党支持層が分かれる構図も同じ。そろって医療福祉や子育て支援充実を訴え、政策的争点も少ない。(いわき支局・佐藤崇)

<医療や教育訴え>
 「1期で市長が変わり続けている。今必要なのは政治の安定だ」。4日にあった清水氏の演説会で応援弁士が声を張り上げた。
 再選を目指す清水氏が演説などで強調するのは東日本大震災からの復興施策と、市立総合磐城共立病院の建て替えや保育料引き下げといった実績。「さらに深化させる」と支持を求める。
 「公約を実現していない」として清水市政を批判する渡辺、宇佐美両氏が重視する政策も医療福祉、教育分野が目立つ。
 返り咲きを狙う渡辺氏は「人づくりにお金を使う」と高齢者対策の強化と教育予算増額、幼稚園、保育所の無料化を公約に掲げる。
 市政刷新を唱える宇佐美氏は「地域医療日本一を目指す」と主張。医師不足の解消や救急救命体制の改善などを重点的に訴える。
 前回の2013年は震災と東京電力福島第1原発事故の影響が色濃かった。震災対応が争点になり、批判票を集めた清水氏が渡辺氏を破った。「復興の遅れ」への不満が集中し、デマも飛び交い首長が相次いで敗れた「落選ドミノ」の一つに数えられた。
 震災発生から約6年半。風評対策や市内に2万人以上が暮らす原発避難者への支援など課題は山積する。ただ、災害公営住宅が完成するなどハード整備は進み、復興が市を二分する論点にはなっていない。
 商業施設で候補者の遊説に居合わせた市内の男性会社員(60)は「ある程度生活が安定してきた。危機が遠のけば政治への関心は薄れる」と投票先を迷う。

<自民支持割れる>
 政党の動きも構図を分かりにくくする。市議会の自民党系2会派が清水氏と渡辺氏に分かれ、4回連続で自民支持層が割れる選挙となった。連合福島は渡辺氏を推薦したが、民進、共産、社民各党は自主投票。与野党対決にもなっていない。
 宇佐美陣営は「自民内の批判合戦に嫌気が差した有権者は多い」(幹部)と草の根戦術で政治の転換を訴えるが、「埋没」を懸念する支持者もいる。
 前回51.13%だった投票率について清水陣営は「55%」と想定。渡辺陣営は「40%台後半」、宇佐美陣営は「昨年の市議選(46.66%)を下回る可能性がある」とともに低下を予想し、関心の喚起に努める。

 ◇いわき市長選立候補者
宇佐美 登50元衆院議員 無新
渡辺 敬夫71前市長   無前
清水 敏男54市長    無現
(自推、公支)