農林水産省が2015年度に実施した国の農産物検査に関するアンケートで、青森、岩手、秋田など12県が、コメの着色粒の混入限度緩和に賛成する意向を示していたことが7日、市民団体の調査で分かった。アンケート結果は非公表。回答が集まった22府県の中に規制強化を求める声はなかった。
 着色粒はカメムシ被害が主な要因とされ、市民団体は「基準緩和でカメムシ防除の農薬を減らせる」と主張する。団体は8日、農水省に検査見直しの手続きを進めるよう申し入れる。
 回答を独自集計したのは秋田県大潟村の農家でつくる「生き物共生農業を進める会」と「反農薬東京グループ」(東京)。
 アンケートは都道府県や集荷業者などを対象に、農産物検査規格の見直しに関する意見を聞いた。集計によると、12県が着色粒の基準を「緩和すべきだ」と回答。6府県は「現状のまま」、4県が「分からない」だった。
 規格では着色粒の混入限度は1等米0.1%、2等米0.3%、3等米0.7%。一方で異物の混入限度は1等米で0.2%と、着色粒よりも基準が緩い。
 カメムシ防除にはネオニコチノイド系農薬が広く使用されている。緩和に賛成する県からは「異物混入より基準が厳しいのはおかしい。農薬散布回数を低減する観点からも緩和すべきだ」(青森県農産園芸課)との声が上がる。
 岩手県産米戦略室の担当者は、着色粒は収穫量に大きな影響を及ぼさないとした上で「生産者の多くは着色粒の規定を満たすために防除している」と指摘する。
 防除のコストに触れた意見もあった。着色粒は収穫後に圧縮空気で粒を吹き飛ばす色彩選別機でも除去できるため、ある県は農薬散布の費用が負担になっていると回答。秋田県水田総合利用課の担当者は「コスト削減などの観点から今の基準でいいのかどうか議論すべきだ」と語る。
 ネオニコチノイド系農薬は他の殺虫剤に比べ人への毒性が弱いとされるが、ミツバチの大量死の原因だとする指摘もある。共生農業を進める会代表の今野茂樹さん(63)は「殺虫剤は生態系に影響を及ぼす。色彩選別機を使うことで農薬使用量を抑えられる」と緩和を求める。
 農水省政策統括官付穀物課の担当者は「今後、アンケート結果を活用して議論を進めたい」と話した。

[ネオニコチノイド系農薬]ニコチンに似た物質を主成分とする農薬で、神経の働きを阻害して昆虫を殺す。1990年代から世界中で使用され、欧州では近年、使用を規制する動きがある。