東日本大震災、東京電力福島第1原発事故で被害を受けた市町村が初動対応を自ら検証する作業は、記憶が薄れる時間との闘いの中、手探りが続く。検証は「限りなく」「できない」「後に託す」-。それぞれの現場を訪ねた。


◎報告書 訓練に生かす

 釜石市は震災9カ月後の2011年12月、震災対応の検証作業に着手した。以来、これまでに「災害対策本部編」「学校・子ども関連施設編」などテーマを絞った検証を含め、計7冊の報告書をまとめた。
 膨大な業務に追われた震災発生の年から検証作業を急いだ。背景には、多くの犠牲者を出した市鵜住居地区防災センターの悲劇を繰り返さないための検証の必要性や、職員の記憶の風化に対する危機感があった。
 災害対策本部編には、初動・応急、情報通信・伝達など13項目の検証を収めた。初動対応では、災害対策本部が組織として機能するまでに時間がかかったと指摘。震災直後に個々の職員、部署が目の前の業務の対応で精いっぱいだったことなどを原因に挙げた。
 今月1日に市が実施した津波避難訓練では検証を踏まえ、災害対策本部の事務担当職員を7人から12人に増員した。職員は危機管理課だけでなく、総務や企画など部課を横断して集めた。市防災危機管理課の千葉博之課長は「担当課任せではなく、職員全体で初動対応を考える機会になった」と振り返る。
 検証によって、8カ所以上に分散する市庁舎間の連絡や、人事異動などに左右されない職員の震災対応力の安定化などさまざまな課題が浮き彫りになった。
 野田武則市長は「災害対策本部だけでも震災対応に改善の余地があり、職員一人一人学び続けなければならない。検証に際限はない」と強調する。