昨年8月の台風10号豪雨による洪水で犠牲になった岩手県岩泉町の高齢者グループホーム「楽(ら)ん楽(ら)ん」の入所者9人のうち6人の遺族が、施設を運営していた医療法人社団「緑川会」(岩泉町)に法的責任を認めた上で慰謝料を支払うよう求めた書面に対し、緑川会が「賠償請求には応じられない」と回答したことが11日、分かった。
 緑川会の佐藤弘明常務理事は取材に「楽ん楽ん(の立地場所)は洪水浸水想定区域に指定されていなかった。台風10号による浸水は予見できず、現段階で賠償請求には応じられない」と話した。緑川会は遺族に、弔慰金支給の意向を示している。
 遺族側は被災当時施設にとどまっていた女性所長による説明も求めたが、緑川会は所長が通院治療中として断った。佐藤常務理事は「要求には応えたいが、うそもついていないし隠していることもないので新たに説明できる部分はない」と述べた。
 公表を求めた施設の避難計画は、水害を想定した計画は策定していなかったとして地震・火災発生時の避難計画を送付した。施設跡地への慰霊碑建立は無期限延長とし、遺族側と協議したい意向だ。
 入所していた母チヤさん=当時(95)=を亡くした埼玉県の写真家八重樫信之さん(73)は「他の遺族や弁護士と話し合って今後の対応を決める」と話した。