東京電力福島第1原発事故による山形県への自主避難者ら735人が、国と東電に総額80億8500万円の損害賠償を求めた訴訟の第21回口頭弁論が11日、山形地裁であり、原告本人尋問が始まった。本人尋問は原告約30人に対して行われる見通しで、原告側は2018年7月までに終えたい考え。

 この日は原告3人と、避難者の生活や精神状態について聞き取り調査をした山根純佳・元山形大准教授(社会学)が出廷した。
 原告の一人で、子ども3人と共に山形市に自主避難した30代の女性は週末にしか夫と会えない生活について陳述。この6年間、夫は土曜の夜、片道2時間運転して山形に来てくれているが、「日曜の夜、父親が福島に戻る時に子どもは泣き、主人もつらい思いをしている」と話した。
 原告側の代理人弁護士から国と東電に伝えたいことを問われ、声を震わせながら「私たち家族はずっと続くはずだった古里での生活を人災で奪われた。子を思う親だからこそ離れ離れになっても、貯金を減らしてでも避難した」と訴えた。
 山根氏は自主避難した母親ら28人への聞き取りと353人分のアンケートの結果から「自主避難者には、避難区域からの避難者とは異なる特有の苦痛がある」と証言した。
 その上で、福島に残れば子どもの健康不安が、自主避難すれば二重生活などの不都合がつきまとうジレンマの中で、福島の母親は避難すべきかどうかの選択について過剰な責任を背負わされていると主張。自主避難先で孤立する子どもの姿を見て、自分を責める母親がいることも指摘した。